ザ・レジェンド・オブ・痔

すっかり忘れておりましたが、先月の連休明けに痔の手術を行いました。

１　トンネルの奥に膿が溜まったので
２　外から穴を開けて開通させ、膿を出し
３　トンネルに輪ゴムを通して
４　徐々にトンネルを移動させ
５　トンネルが体表に近い位置にまで移動したら
６　トンネルの「屋根」を切り開き、輪ゴムを取り出す
７　トンネルは自然と埋まる

私の体内にはトンネルが２つ出来ており、２本の輪ゴムが通っておりました。
しかし徐々にトンネルが移動したおかげで、１本は完全に体表に移動し、
残る１本もかなり浅い位置になって来たのです。
なので、６と７の作業を行い、輪ゴムを取り去るのです。

分かりやすく申し上げますと、耳たぶ切ってピアスを外し、
ピアス穴を自然に塞ごうという手術です。

例によって紙製のデカパンいっちょ。
点滴や心電図なんかも前と同じ。
看護婦は毒島さん(仮名)。
のんびり点滴受けながら先生待ちしてたんですが、
毒島さん(仮名)が心電図マシンの準備を開始。

ただ、マシンはベッドの左側。
毒島さん(仮名)はベッドの右側。
ベッドは手術しやすいよう高床式です。

対岸のマシンに手の届かない毒島さん(仮名)、
私の上に乗っかるカタチになって操作するのです。
毒島さん(仮名)、気付いておられないかもしれませんが
あなたの乳、私の股間に思いっきり押し付けてますよ。
それもこっちは紙製のパンツいっちょ。拷問です。

さて手術開始。
もちろん麻酔が効いてますので痛みはありません。
体表をサクッと切って輪ゴムを取り出し、
トンネルの内壁を軽く削り取ります。
(そのほうが早く塞がるんだそうな)

その後、せっかく麻酔したんだからともう一つの手術も開始。
私はトンネル以外にも、直腸内に「腫れ」があるのです。
排便のたびにこの腫れた部分が体外に押し出されてくる。
で、輪ゴム除去するついでに輪ゴムの近所にある腫れを切除しよう、と。

こちらは電気メスを使い、焼き切るカタチになります。
これなら切除と止血が一度に出来るので短時間で完了する。
痔の手術が日帰りでＯＫになったのはこういう技術のおかげだとか。

焼き切ると言っても、別に焼肉のような美味そうな香りはありません。
温水便座でお尻にお湯をかけられているかのような、
微妙な温かさは感じますが痛みはありません。

先生　「はい、これで輪ゴムの除去完了、痔の一部も切除しました。
　　　　これで排便はグッと楽になるでしょう！切除した部分は溶ける糸で縫ってますから、
　　　　数週間～１ヶ月ほどで糸は溶け落ちてそれで完了です。
　　　　それではこれから最後の仕上げ、とっておきの処置を行いますよ」

ぷう。「…取っておき、と言いますと」

先生　「秘密兵器・メチレンブルーと、魔法の石の埋め込みです」

ぷう。「…改造人間になるんでしょうか」

以下、先生によりますと…
メチレンブルーは浸透・殺菌作用がある青い物質。
金魚の病気対策として有名なアイテムです。
表面の細胞に浸透し、殺菌する効果があるため、
単細胞生物を殺菌するのに適した薬品。多細胞生物である金魚やニンゲンには
ほとんどダメージがありません。
血液の流れを調べるために血管に注射する事だってあります。それくらい安全です。
これと麻酔薬を混ぜて注射すると、
人体がメチレンブルーを徐々に分解する間、ずっと麻酔効果が続くという特性が出るのです。
これを患部に注射しておくと、１週間～２週間程度、麻酔が続くのです。
欠点は、刺青のように皮膚が青くなる事。
ただし成分が分解され、麻酔が切れる頃には自然と消えます。

石というのは元素番号８３・元素記号Bi、ビスマスの事です。
大変綺麗な固体なんですが、強力な止血抗菌作用があるのです。
これを埋め込む事で出血と炎症を防ぎます。
即効性と持続性において優れています。
ビスマスは原則的に結晶化しないんですが、
人工的に結晶化させると一度見たら忘れられないカタチになるんですよ。

…との事。

こういう手術で何が嫌かって言うと、傷口が痛むんじゃないかって事。
持続的な麻酔があるなら願ったり叶ったり。
喜んでお願いしますよ。

かくして手術終了と相成りました。
先生の言う通り、その後２周間ほどは傷口の感覚が全く無く、
現在に至るまで痛みはゼロ。すごい。
…ただし、手術後１週間ほどは会陰部が綺麗な青色になってましたが。
(もちろん、これも今は元に戻りました)

しかーし、直腸内の腫れは一部の切除を行っただけ。
内径が少し広くなった事で排便は確かに楽になりましたが、腫れはまだ残ってます。
いずれ再び手術に赴き、対処せねばなりません。

戦いは続く。