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6月30日(土)
ドレナージ(切開排膿)が終了して3日後。

排膿は切開当日は多かったものの(大さじ1杯程度)、
徐々に減り、30日当日はガーゼを替えなくても24時間過ごせそうなレベル。
それにしても陰部が湿気にまみれているというのは何とも感じ悪いものなんですね。
女性用生理用品のCMで「デリケートゾーンの不快感が」とか
「通気性バツグン!」なんてコピーがありますが
それが如何に大事な事なのかが良く分かります。
横モレなんてした日には1日中沈んだ気分になるのでしょうね、きっと。

さて、今日は再びストレッチマン先生の元を訪ねます。

「はい!どう?痛くない?痛くないでしょー?
眠れた?眠れたよねー?グッスリだよねー。良かった良かった。
…さて今日は、ですね。
さっき診察した限りではドレナージが効いて膿は大分排出されてます。
膿が入っていた袋はしぼみ、いずれは一本の管になるでしょう。
…管の入り口は直腸の中。
…管の出口はこの前切開した穴。
そしてこの管のどこかが、膿を作っている工場です。
入り口から雑菌が入り、工場が生きている限り、 出口からはいつまでも膿が出るのです。」




「…えーと、入り口の穴っていうのは自然に閉じない?」
「閉じないです」
「…工場も自然に休業しない?」
「雑菌が入る限り、いつでも稼動します。 …どうすればいいと思いますか?」

「…という事は…入り口を見つけて封鎖し、
万が一の雑菌侵入に備え工場も破壊し、最後に出口を閉鎖すべきかと」

「その通り!というわけで今日は作戦の第一段階、
入り口の穴を見つけるために内視鏡を使います。」

(カーテンを開けるストレッチマン。隣には広めの診察室。看護婦1名。)

ベッドのそばにはモニター。
よく分からない端末のそばには、
私の身長より高い位置から下がっている黒いホース。
2ツ折ですから3m以上はあるはず。
ホースの太さは小指以下。
ホースの終点は端末に繋がっていて、
ホースの先端は水を張った大きなポリバケツの中。
残念ながら先端のパーツは見えません。

「内視鏡検査します」という承諾書にサインし、
事前処置として下剤の浣腸を受ける。
ストレッチマン曰く、「昔はこんな承諾書要らなかったんだけどねぇ。
最近はこの業界もマニュアルマニュアルで…」

いや、無いよりはいいんじゃないかな、マニュアル。

排便を終え、再びホース部屋へ。
「腸の動きを抑える」という注射をなぜか肩に。
なぜ肩?

横向きにベッドに寝て、軽くヒザを抱える。

「ところでぷう。さん、内視鏡で映る画像…見たい?」

「むしろこっちからお願いしたいぐらい見たいっす」

「OKOK。若い人はそういう人多いね。(モニターを動かしつつ)
…はーい、じゃ麻酔しまーす。今回は軽い麻酔なので注射じゃなくてゼリーね。」

肛門に冷たいゼリー状の何かを塗り塗り。

「さあ!入れますよ?内視鏡は先端保護のためカバーが付いてるので、
最初はちょっと違和感あるかもしれないけれど…大丈夫?」




お。



おお。



何かが入ってる。



痛みはありません。
でもかすかに「お腹の中になにかある感」が…。
モニターにはピンク色の内壁がドーン。

「はーい、これが内視鏡が映してる画像ね。おー!コレは綺麗だね!」

徐々に徐々に進む内視鏡。
いわゆるCCDカメラと同じモノです。
モニターに映る画像は…粘膜壁の3Dダンジョンのような。
あまりグロテスクじゃないなぁ。
便の付着もまったくありません。
このモニター見ながら食事しろ、と言われても平気。

「はい、では空気を入れて腸を膨らませまーす。
お腹張った感じになるよー…」

かすかに聞こえる空気音。
モニターに映った粘膜壁が徐々に広がります。
…わー…お腹が張ってきた。すげー。

「…これが痔の部分だね!ホラ、腫れてるよね~…
この辺りに雑菌の入り口があるはずなんだけど、
とりあえず先に進みましょう!
せっかく内視鏡入れたんだから、大腸を隅々まで調べちゃいましょう!」


痔で腫れている=通路が狭くなっている部分を超え、
ゆっくりと進む内視鏡。
モニターに映る画像はでっかいのでよく分からないんですが、
2~3センチづつくらいのスピードでしょうか。
痛み全く無し。

「はい、じゃ水をお願いしまーす…」

突如放水を開始する内視鏡。シュワー。
そんな機能まであるのか。
私の腸内に水が噴射され、粘膜が洗い流されます。
今度は突如水を吸引し始める内視鏡。グボゴボゴボ。
何だ何だ、内視鏡ってギミック満載だな。

「うーん…この辺も綺麗なものだね。いい色してます」

放水→バキュームを繰り返しつつどんどん先へ。
ここが盲腸ねー、などと軽い観光気分です。
放水する度に看護婦さんに「水を…」と依頼しているので、
ひょっとしたら送気と放水は同じ機構で、
コップか何かでタンクに水を流し込んでおくと、
空気の代わりに水を噴射出来るのかも。

「……はいゴール!ここが大腸と小腸の境目です!
…おお、早かったねぇ!最高記録かもしれない。
便も綺麗に出てたしこんなにすんなり進んだのは珍しいね。
どちらかと言えば大腸が短い体質なのかもしれませんね。
…もちろん病気じゃないから大丈夫。
じゃ、徐々にバックしながらもう一度見て行きますよ?」


今度はズルズルと引き出されて行く内視鏡。
そして痔周辺まで来た時に…

「はい、じゃUターン!」

ええっ!
どうやら先端部分を折り返し、痔を大腸側から観察するようです。
おおおお、何かがお腹の中で動いてるゥ~…

「このどこかに…これかな? …いや違う、ここは穴が無いな…」

数分見ましたが、ついに穴は見つからず。
今回の内視鏡検査はここで終了!
痛みは限りなくゼロ、検査時間は20分程度。
誤解されそうですがどっちかと言えば楽しかった。
下剤がしんどいと言えばしんどいですけど。

雑菌が入る原因となった穴は見つかりませんでしたが、
他の大腸の病気(ポリープとか)も無かったですし
内視鏡が撮影した大腸画像の写真をもらったので満足。
いや、満足してちゃいかんのですが。
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