楽園の処方箋

病院へ行って、診察してもらって、処方箋をもらう。
病院のすぐそばにある調剤薬局に行って処方箋を渡し、薬をもらう…。

多くの病院で行われている光景ですが、
考え方によってはコレ「たらい回し」にも見えますよね。
これには医師と薬剤師、２人がかりで薬をチェックする事でミスを防ごうという意図があります。

つまり薬剤師は医師が間違った処方箋を出した場合、
そのミスを見抜き報告しなくてはならないのです。
これってものすごーくハードなお仕事ですよ…。

ちょっと考えてみましょう。
あなたは大衆中華「後藤軒」のコックです。
様々なお客さんが様々な注文をしますが、
あなたはその伝票を見てオーダーミスを発見しなければなりません。

その１　注文数がおかしい
例えば…伝票に「ラーメンｘ１２」と書かれていたら…。
これ、明らかにヤバイですよね。
あなたは大急ぎでその注文が正しいかどうかを確認しなければなりません。
２人連れで入店したお客さんがいて、
「俺、ラーメン！」「うーん…じゃあボクもラーメンで」なんてやり取りがあって、
ラーメンｘ１をラーメンｘ２に書き直したつもりだったのかもしれませんからね。

その２　必要性が疑わしい
ラーメンｘ１　炒飯ｘ１　ライスｘ１
これも想像すると随分不思議な注文です。
炒飯をおかずにライス、でしょうか？
単なる記入ミスなのか調べたほうが良さそうですね。
注文したお客さんが大食いで有名なＪ☆さん(仮名)ならば
ひょっとしたらマジで注文しているのかもしれませんから。

その３　薬効が強すぎる
キムチラーメンｘ１　キムチｘ１
思いっきりかぶってますね。
唐辛子パワーが効き過ぎないか注意しなければなりません。
注文したお客さんが辛いの苦手な体質ならミスがあったのかもしれません。

その４　薬効が弱くなる
キムチラーメン・キムチ抜きで
こっちは明らかに相殺してますね。
これならもっと安くて同じ内容の普通のラーメンをお勧めしたほうがいいです。

その５　単位数ミス
ラーメンｘ２　餃子ｘ５２
いくらなんでもそんなに食べる人はいないでしょう。
ラーメン２杯を注文しているところからお客さんは２名なのかもしれません。
だとすればコレは「餃子(５個入り)を２皿」という意味っぽいですね。
確認しましょう。
もしＪ☆さん(仮名)ならば(略)

その６　体質
チャーシュー麺ｘ１
これは一見大丈夫そうですが、肉が苦手な東郷さん(仮名)が注文していたら…？
これまた店内を見回してジャンプしている人がいるかどうか確認しなければなりません。

その７　理解不能
豚骨ラーメン・トッピングにバター
…理論的にはありえますが、バターを合わせるのは普通は塩や味噌ラーメンですよね。
これも確認しましょう。



…このように様々な可能性について瞬時に判断する頭脳が必要となるのです。
いやはや凄いですねー薬剤師。
ラーメンで表現すると簡単そうですが、調剤薬局で扱う薬は数百種類もありますからね。
それら全ての特徴を把握しておかないといけません。
(ＡとＢは相性悪い、Ｃは７日以上連続で使っちゃダメ、Ｄは…)