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第一次世界大戦中の1917年12月、カナダのハリファックス港。
フランスの船・モンブラン号と
ベルギーの船・イモ号が衝突した。

モンブラン号には様々な火薬が積み込まれていたが、
ドイツの潜水艦攻撃に晒される危険性を考慮し
「危険物積んでます」の旗を出していなかった。

港に入ろうとしたイモ号と、港から出ようとしていたモンブラン号。
優先進路と慣例を勘違いして接触。
特に大ダメージな接触ではなかったが、
モンブラン号の甲板に積んであったベンゼンのドラム缶が横転、漏れ出した。
ベンゼンは極めて強い揮発性、引火性を持つ液体。
火花が引火し、燃え始めたベンゼンを消火する手立てが無く、船員はそのまま脱出。
逃げながら「爆発するぞ!」と叫んでいたらしいが、
船員の言語がフランス語だったため理解出来る者がおらず、
避難は行われなかった。

さらに「危険物運んでいます」の旗も無かったので
見物客は誰も危険性を把握出来ていなかった。

船員を失い煙の立ち上るモンブラン号はゆっくりと港内に到着し、
そして爆発した。

爆発時の衝撃は爆心地を中心に波紋のように広がる。
地面に置いた火薬が爆発した場合、
下方に向かう衝撃波は地面を振動させる事に消費され、消える。
(あるいは土を掘る事に消費され、消える)
しかし地面から離れた場所=空中で爆発した場合、
爆心地から広がる衝撃波のみならず、
十分に地面を振動させられなかった衝撃波が消えず、
地面に当たって跳ね返るカタチで広がる。
爆心地から普通に広がる衝撃波と、
爆心地の下の地面から広がる衝撃波。
この2つが重なる事で破壊力は倍増する。

これと同じ現象がモンブラン号で発生。
2km四方を廃墟とし、
搭載されていた大砲は4km、
錨の破片(500kg)は5km先まで飛んだ。
発生した黒煙は7000m上空にまで到達、
爆発の衝撃で18mの津波も発生。
窓ガラスの破片で1000人近くが失明。
そのうち200名は両目の失明。
(100km離れた建物の窓ガラスですら粉々になった)
さらに翌日からは運悪く猛吹雪となった。

衝撃波・火災・津波・吹雪という4つのダメージを受けて港は壊滅。
爆発直後の死者1500名、
数日以内にさらに400名が死亡した。

後年、核爆弾の研究者が
核爆発の衝撃波がどう伝播するか、を研究する上で
この事故をベースにした。

広島原爆や
かつて米軍が持っていた「デイジーカッター」も
「衝撃波を重ねる」技術の産物である。

デイジーカッター
・ジャングルの樹を一気になぎ倒してヘリポートにする
・広範囲に埋設された地雷を一気に処理する
…などの用途に使われた。
後者を目撃した兵士が「核兵器が使われた」と誤解したほどの威力。
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