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小菅桂子 水戸黄門の食卓 中公新書

水戸のご老公は西山荘という別荘に移り住み、
1694年から亡くなるまでの10年間を過ごしました。
この西山荘はお寺の隣にあり、寺の住職が書いたのが「日乗上人日記」。
水戸の徳川9代藩主斉昭(なりあき)がまとめさせたのが「食菜録」。
この2つを原本として紹介するのが今回の本です。
前者の日乗上人日記はご老公と住職の会話本。
後者の食菜録は言わば水戸家の料理レシピ本。

まず日乗上人日記の方ですが、ご老公、結構面白い事を言ってます。
「キュウリはケガレが多いから食べて神仏にお参りしてはいけない。
また、害になる部分が多くていいとこ無し。植えるな。食べるな
他にも裏山でみずから松茸を100本も獲ってきたり
(老体で採れるというのも凄いが、そもそもそれだけ生えている事が凄い)、
独学でウドンを打ったり(ご老公の振る舞いウドンは有名だったそうな)、
散策中に川を渡っていると急に鮎料理が食べたくなったものの調理道具が足りない。
「お前たちが履いてるワラジをまな板にしちゃえよ…
ワラなんてものは元々綺麗なんだし、川の水だって綺麗なんだしさー」なんて発言も。
好きなのね、食べ物。


もうひとつの食菜録
これは当時のレシピを知る事が出来るレアなデータ。
これがかなーり弾けている。

カツオを保存する法
ナマリ節を作るがごとく4つに切り、壷に入れる。カラシを大量に用意。
カラシ→カツオ→カラシ→カツオ→…の順に積み重ね、最後に醤油をカラシの半量ほど注ぐ。
食べる時はよく洗い、刺身で。
「いつものカツオよりもちょっと柔らかいけれど、風味よろし」

梨を保存する法
青い梨を樹から直接もぎ取る。地面に落としてはいけない。
これをあずき粒の中に入れておけばいつまでも持つ。
10個のうち7~8個は樹になっているような状態のままで綺麗に保存出来る。

…こういうトンデモな調理法ばっかではありませんよ。
お餅の項目は、現代と全く変わらない。曰く、

餅は長さ二、三寸ばかり、幅五、六分くらいに切り、
焼きて醤油へ一寸入れ直ちに海苔に巻きてあつき所を用ゆ也。


ご老公が焼きたてモチを醤油とノリで食べる姿が目に浮かびます。
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