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秘境に住む大猿を映画に使おうとする女流映画監督を小原乃梨子。
大猿と競演させるべく小原が見つけた男優を広川太一郎が吹き替えています。

話の筋は…どうでもいいですね、ええ。

箸にも棒にもかからない映画を与えられ、
完全に「声優がこの映画を面白くしてね」状態。
それにノリノリで答えている声優たち。
サイコーに面白い「お遊び」です。
全編に渡って広川節炸裂なのですが、ひとつ挙げるなら…
広川と小原が出会うシーンでしょうか。

場面はこう。

1 微笑む広川、歯が輝く
2 目があってウットリする小原
3 会釈し、立ち去る広川

普通の映画ならこれで済むんですが、この映画はB級なので
1と2の繰り返しを5回もやるんですよ。
その時点で普通の映画じゃないんですけれども。
結局、シーンはこうなっています。

1 微笑む広川、歯が輝く 
2 目があってウットリする小原
3 微笑む広川、歯が輝く
4 目があってウットリする小原
5 微笑む広川、歯が輝く 
6 目があってウットリする小原
7 微笑む広川、歯が輝く 
8 目があってウットリする小原
9 微笑む広川、歯が輝く 
10 目があってウットリする小原
11 会釈し、立ち去る広川 

このクドいシーンに広川節が入った完成形はこうなっています。

1 微笑む広川、歯が輝く 『ぴかーん』
2 目があってウットリする小原 『あ…』
3 微笑む広川、歯が輝く 『かきーん』
4 目があってウットリする小原『あぁ…』
5 微笑む広川、歯が輝く 『ぴきーん』
6 目があってウットリする小原 『ああ…』
7 微笑む広川、歯が輝く 『きらーん』
8 目があってウットリする小原 『あああ…』
9 微笑む広川、歯が輝く 『こきーんってもう目一杯』
10 目があってウットリする小原 『あああぁ…』
11 会釈し、立ち去る広川 『ボクってものは…』

効果音すら自前で喋るのです!
しかも最後の「ボクってものは」なんて完全に元々無い台詞ですし。

わざわざ歯を光らせた上、それを5回も繰り返す映画も只者ではありませんが
それに声をアテるほうもアテるほうです(笑)

こんな事が出来るのは広川太一郎を置いて他にはありません。
この才能が失われたのは実に惜しい。

クイーンコング、DVDはレンタルでも出回っています。
「きらーん」のアテレコ風景や舞台挨拶も入ってますので是非ご覧あれ。
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