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5日目
最終日は表彰式を残すのみ。
各競技の優勝者はあのオリーブの冠をもらって終了です。
自身の銅像建築権はもらえましたが賞金などはありません。
しかし「オリンピック優勝者」という名誉は凄まじく、生まれ故郷に帰った時などは
公的施設での生涯飲食無料、それこそ一生遊んで暮らせるだけの贈り物がもらえたそうです。

オリンピックが終わったあと、スタジアムはまた眠りにつきます。
次のオリンピック開催まで、あと4年。

さて、長編日記オリンピック編、お楽しみ頂けましたでしょうか。

最後に、未使用のまま終わった当時の医療についてを
軽くご紹介しておきましょう。
何か困った事があったら、参考にして下さい。


・股関節が外れた時専用の呪文
 「モタス・ウアエタス・ダリエス・ダルダレス・アスタタリエス・ディッスナピテル」 
・クミンの香りを嗅ぎながらHすると妊娠しやすい
・薬草ヘンルーダは早漏防止、夢精防止に効果あり。
 解毒効果があり二日酔いにも効くが妊娠女性は控えるべき。
 迂闊に使うと胎児が死亡する。
・バジルは胃炎や膀胱炎の原因となる。
・バジルは害虫を引き寄せる。特にサソリとシラミ。
・バジルを食べた日にサソリに刺されると死ぬ。

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4日目 午前

オリンピックで最も由緒ある競技、それが徒競走。
第一回大会では192mの短距離走「スタディオン」だけですが、
時代を追うに連れ1往復する中距離走「ディアロス」、
12往復する長距離走「ドリコス」が生まれました。

折り返し地点には石柱がありましたが、これをつかむ事は禁止。
それでも他の選手の髪を掴んで投げ飛ばしたランナーもいたそうです。
特に短距離走は人気がありそれを描いた様々な絵も現存しています。
ただ、それらは「右手と右足が同時に前に出る」スタイル。現代とは違いますね。
オリンピックではタイムや距離などの成績ではなく
優勝回数そのものが重視されました。
何秒で走った、とか何m飛ばした、ではなく「何回優勝したか」。
これも現代とは違いますね。


4日目 午後
さあ!いよいよ古代オリンピックらしい競技がやってきました。
競技のあとには必ず死者が出るという
レスリング・ボクシング・パンクラチオンの3大格闘です。

まずはミノタウロスを倒した英雄・テセウスが考案したというレスリング。
体重別ではないのでどの選手もデカイ!
体格の増強には肉類が効果的、と言われていましたが当時の肉は貴重品。
それなりの地位(あるいはパトロン)がある人間でないと勝つのは難しかった事でしょう。
ルールは腰・背中・肩のどこかが地面に付いたら1本。3本勝負です。
反則は腰から下を掴む、殴る、蹴る、目などをえぐる。
現代でも通用しそうなルールですね。

次の競技はボクシング。
細い皮ひもを巻いただけの手でとにかく殴る、殴る、殴る…。
こちらはレスリングとは違いかなり現代と開きがあります。
まずリングが無い。
リングが無いのでロープも無い。
ラウンドも無い。
3ダウン制も無い。
そしてボディへのパンチが無い。
要するに顔面をひたすら殴る競技。ご想像の通り実に凄惨な試合となります。
決着が付くのは失神するか指を立てて降参の合図をするか、だけ。
相手のパンチを一切避けない戦法が売りで人気が出た選手(その顔は荒野のようだったという)、
顔をボコボコに殴られながらノーダメージを装うために折れた歯をひたすら飲み込んだ選手、
2日間ガード姿勢で耐え、相手が降参した選手などなど色々な選手がいたそうです。
どうしても決着が付かない場合は特別戦開始。
この特別戦のルールがまた凄い。
フットワークとガードを禁止し、交代で1回づつ殴る!

ある選手はこの特別戦を行い、拳ではなく貫手(手を開き、指先からの突き攻撃)で勝ちました。
それも相手の内臓を引きずり出して!
しかし審判はこの勝利を認めませんでした。
相手を殺しちゃったから?…ノンノン!
4本の指で突いているので、4回連続攻撃と見なされたからです。

最後に控えているのがパンクラチオン。
これは他の格闘競技に比べ格段に人気がありました。
ルールはレスリング+ボクシング!
勝敗は降参だけ。
殴る、蹴る、投げる、極める、何でもあり。
急所攻撃も首絞めもあり!
特に対戦相手の指をつかむ選手は恐れられたそうです。
簡単に折れますからね。(指を折られたら降参の合図が出来ない!!)
レスリングとボクシングを融合して悲惨な試合にならない訳がありません。
中には相手が降参したものの勝者はすでに死んでいたという試合も。

全ての競技は終了しました。
…いや終わっていませんでした。
4日目は「武装競争」という競技もあったんです。
全身フル装備の兵士コスプレでガッションガッション走るという競技。
この競技だけは事前の地獄トレーニングが無く、癒し系競技だったそうです。
想像すれば何となく分かりますね。


もしあなたが競技に出場し、何らかの怪我を負ったなら治療を受ける事が出来ます。
(即死していない事を祈ります!)
病院の中は骨折、捻挫、内臓損傷、そんな患者が一杯。
熱射病や脱水症状、不衛生さから来る下痢を訴える観客も山のように。
切開や縫合の技術、包帯代わりの羊毛、鎮痛作用のある木の皮などはあったようです。
またハーブ類の処方や各種軟膏もありました。

しかし油断してはいけません。
当時の医療で最も重視されていたのは夢判断
その結果トンデモない治療方法がとられました。
30キロ歩け、川に飛び込め、豪雪の森を2キロ走れ、
雷雨の中に船に乗れ、数週間断食しろ、数年間風呂に入るな…。
数週間断食したら健康な人でも死ぬと思うんですけどね。
3日目 午前
オリンピック競技会は現代で言う所のスポーツショーではありません。
そういう側面もあったでしょうけれど根幹は主神ゼウスへの宗教儀式。
この大会3日目にはその宗教的一大プログラム「イケニエ」があります。
これは100体の雄牛をイケニエとしてゼウスに捧げるという行事。
当時は神に祈る時には毎回イケニエ儀式が行われていました。
戦争の前、結婚式の前、選挙の前、そして競技の前…。
100体の牛は次々と屠畜され、串焼きになって行きます。
それらを万人が平等に食べる事が、神は平等である事の証となるのです。
この辺は日本にも通じますね。

3日目 午後
肉が山盛りの晩御飯の前に行われるのが短距離・レスリング・パンクラチオン(格闘)の3競技。
それも18歳未満しか出場出来ない「少年の部」です。
もちろん全裸です。
アレでソレな人はハァハァなイベントですが、
羽の楽園はノーマルなので流します。

オリンピックには女性が参加する事は出来ませんでしたが、
ここで間違ってはいけないのは女性がスポーツを行う事は無かった…ではないという事。
オリンピック以外の、地方都市で行われる競技会では男女混合競技もありました。
さらには「女性用オリンピックがあった」という記録も僅かながらあります。
12~18歳の処女だけが参加出来る大会だったそうです。
少し興味が…いえいえ何でもありません。

また、以前にも書きましたが
スパルタ市では女性にもオリンピック並の強烈なトレーニングや軍事訓練を課するという
当時でもかなりの異色な都市でした。
男女一緒に訓練場でトレーニングしたそうです。
このスパルタ女性のトレーニングは戦力強化の意味合いもあったでしょうが
体を鍛えて健康な子を産む、という目的が大きかったそうです。
故に幼い頃からトレーニングをやってたんですね。

「スパルタ!その素晴らしい闘技場に感謝を!
   …いや、もっと有難いのは乙女のいる訓練場!少女が!全裸で!レスリングを!」


ちなみに現代になっても女性参加が遅れた競技はいっぱいあります。
フルマラソンに女性の部が出来たのは1984年・ロス五輪の時ですからねえ。
大会2日目 午前

最初の競技は「戦車競争」。
メインスタジアムとはまた別の競馬場で競技は行われ、
本戦には40台が出場します。1台の戦車は4頭立てなので出場する馬は全部で160頭。
車体は2輪で徹底的に軽量化されています。(中には木の枝で作られた物も!)
実際に何頭もの馬を飼育出来たのはほとんどが貴族。
しかし戦車に騎乗するのは貴族本人ではなく、いわばプロの御者。
貴族本人が乗る場合は大いなる賛辞で迎えられました。
当然でしょう。戦車競争のレース結果は凄まじい物ですから。

この戦車競争は40台160頭を一度に走らせるという危険極まりない競技なのです。
縦長のトラックを12周=10km近く。
折り返し地点となる石柱周辺は正にカオス。
遠心力で振り落とされる者あり、踏み潰される者あり。

幸運に次ぐ幸運に恵まれた戦車は無事ゴールへとたどり着きます。
戦車競争で表彰されるのは馬のオーナーでも御者でもなく、実は戦車の製作者。
女性が出場する事を認められないオリンピックでしたが、
この戦車製作者だけは女性でもOKだったそうです。


大会2日目 午後

メインスタジアムで行われる競技「ペンタスロン」の開幕です。
ペンタスロンは円盤投げ・槍投げ・立ち幅跳び・短距離走・レスリングの5種競技。
力の調和と言う美を重視する人にとっては最も大事な競技。
今となっては歴史の闇の中ですが、おそらくは最初の3競技をまず行い、
3つとも優勝した選手がいたらその選手が優勝。
決まらなかった場合は短距離走を、
それでも決まらなかったら最終的にレスリングで決着を付けたようです。
このペンタスロンで行われる円盤投げですが、
円盤の重さは1.3~4.0キロ。(現代の円盤投げ男子は2キロ)
4キロをブン投げるってどんな腕力なんでしょうか。
同じく幅跳びは助走の無い立ち幅跳び。
現代で言う受話器のような形の重りを両手に持ち、勢いをつけて跳んだそうです。

もしあなたが戦車競争やペンタスロンで優勝できたなら、その日の夜は大宴会に招かれる事でしょう。
(オリンピックで賛美を受けるのは優勝者だけ。2位や3位になってもそれは単なる負け選手です)
アルコール分が高く、水割りにして飲むワイン。
牛肉や羊肉。チーズ色々。
オリーブや豆類も豊富です。
ギリシアのチーズケーキは当時非常にメジャーなメニューでした。
海が遠く暑いオリンピック会場では魚介類は貴重品。
料理人は新鮮な魚が手に入った時の感動をこう残しています。

「目の前の魚の何と柔らかい事!
   濃厚なチーズソースで誤魔化す必要も無し!香草で誤魔化す必要も無し!」

「一口食べた客は皿を持ったまま走り出す!他の客も後を追いかける!
   死んだ男すら匂いを嗅いだだけで立ち上がるだろう!」


…ここだけ読めば鉄鍋のジャンか味平ですね。
でもこれ2000年以上前のお話。
1日目
まず選手と審判は全員、大会本部となる建物の中へ。
目の前には両手に稲妻を持つゼウス像。傍らにはイケニエの豚肉が山を成しています。
そこであなたは誓わねばなりません。
反則を使わない事を。
ルールに沿ったトレーニングを行ってきた事を。
そして呪いや買収を行わない事を。
地方都市ごとで行われている競技会ではこれらが横行していたのです。
ゼウスのための競技会である「オリンピック」はこれらをきつく戒めました。

「あの男がスタートラインに立てないように!立った場合はコースを逸れるように!」
「あいつの耳を聞こえなくしろ!しゃべれなくしろ!知性を奪え!」
「オリンピックでは金の力ではなく己の足で勝ち己の肉体で勝て」

大会初日はこの宣誓だけ。
明日までは自由に過ごしてかまいません。
訓練場に戻り最後の調整を行うのもいいんですがちょっと競技場の外にも出てみましょうか。

地方都市でそれぞれ行われる競技会では文化的競技…
つまり歌や演劇といった種目がありました。
オリンピックにはそれがありません。(それぞれの神殿の主神の違いです)
その代わり会場の外では何でもアリですから、
あちこちで文学や詩の朗読、政治論、絵画の展示即売…いわば野良競技が行われていました。
言うなれば鳥の巣スタジアムの周囲でコミケやコンサートやってるようなものです。
何せ本家オリンピックは集客力が段違いのイベントなんですから。
例えば会場の外に自作の絵を並べておくと通りがかった貴族が買ってくれるかもしれない。
お抱え画家にでもなれば一生安泰、ですものね。
他国の人間も一杯来るんですから多少下手でも騙して売れたんじゃないでしょうか。

ただ、当然ながら中にはとてつもなく下手すぎる輩もおりまして、
自作の詩を朗読したあるパフォーマーはその下手さの余り民衆が暴徒化
彼の宿泊テントを粉砕したとか。
…逆にちょっと聞いてみたいなぁそれは。
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