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イザベラ・バードという方をご存知でしょうか。
1831年生まれのイギリス女性。
療養のために訪れた外国生活が気に入ったのか外国を巡って紀行文を著した人。
行った先が凄く多い。
オーストラリア、ハワイ、アメリカ、上海、インド、チベット、中国…。
そして何度も日本に来ています。

そんなイザベラさんが異国日本で何をどう感じたか。
本国に住む妹に何通も手紙を書き、それが1冊の本として出版されています。
ご紹介致しましょう。

1878年…。
身分制度が無くなってから7年、帯刀が禁止されてから2年。廃藩置県はまだ。
そんな日本がまだまだ西洋慣れしていない時期のお話。
イザベラは船で日本にやってきました。
横浜から青森まで旅行するために。
船上では富士山が見えたと乗客が騒いでいます。

「私にはずっと探しても富士山が見えなかったのですが、ふと陸ではなく空を見上げると
予想よりも遥かに高い所にてっぺんを切った純白の巨大な円錐が見えました」

ふふふ、ツカミが上手いぜイザベラ。

他にも
「春と夏を通しての植生と緑の豊かさは実に素晴らしく、
 日本諸島はエメラルド諸島と十分呼べるくらい」と、なかなかの好印象。
言われてみれば緑いっぱいですからね、日本。
波止場から上陸してまず驚いたのは浮浪者がいない事。そして
「移動のできるレストラン」があった事。(屋台だ!)
…このように、イザベラはなかなかしっかり見ているのです。
それでは以降は項目ごとにざっとご紹介。

お茶
お茶の葉は1分しか蒸らさず色は透明な淡い黄色、いい香りと味がして気分がさっぱりします。
日本茶は淹れっぱなしにすると苦くなりいやな渋みが出てきます。

民間薬
人々は「100種の薬」を頼りにしています。
こげ茶色の粉末で芳香性のある味がして、ひとつまみ呑むと体じゅうがぽかぽかしてきました!
(百草という薬は実在します→ こちら)

風呂
人々は一週間に1度は風呂に入る、と私に言います。
一般に柔らかい手ぬぐいでざっとひと撫でして終わり。
炭で沸かすので時として煙が命取りになります。
お湯の温度は華氏110~115(摂氏43~46)あり、
入浴中の老人が致命的な失神を起こす事もあります。

医療
一軒の家で子供が魚の骨を呑んで痛がっていました。
母親は18時間も子供を抱いてあやしていました。
ノドをのぞいて見るという事も、私に診せるという事も気が進まないようでした。
骨はノドの見える部分にあり、簡単に取れました。
1時間後、ケーキや粗末な菓子を一杯盆に載せ、干した海草をつけてプレゼントだと贈ってきました。
その日の夜にならないうちに7人が「診断」を求めに来ました。
(当時は外人=先端医療の技を持つ人、というイメージだった。干した海草=板昆布?)

峠の一軒宿
大皿に盛った食べ物が売られています。
黒い液に浸した塩辛い貝、串に刺した干鱒、醤油漬けのナマコ、
植物の根の粉で作った餅、ドロドロの川藻を圧して干した緑のケーキ。
全て出来損ないで不味そうな食品です。
(このイザベラ容赦せぬ…)

キュウリ
どんな男も女も子供もキュウリを食べ、1日に3~4本というのは法外な量ではありません。
私が食事の度に平らげる量を見たらあなたもきっとビックリするでしょう!

ニセモノ
(海外製品を売っているというお店もあったが)
コンデンスミルクを買うと中身は糖蜜、
レモン果汁の清涼飲料水を買うとコールタール臭のする砂糖水、
濃縮コーヒーは糊状に固まっていました。
最近の私は半透明の石鹸を買ってみました。
使ってみたところ30分後に全身に発疹が出てきました!

日本の野菜
大きな例外一つを除き、あとは無味である。
大豆、ソバ、とうもろこし(以下、延々と続く)。
最後まで残しておいたのは、かの名高いDAICONである。
これには旅行者も居留者も外国人はみな悩まされる。
まったく敬意に価する!果敢な人でも逃げ出すほどなのだから!
DAICONを干してから米ぬかと共に塩水に漬ける。
寝かせてある三ヶ月の間に大量の漬け汁を吸収し、
それを食べている時は同じ家の中にいるのも困難になるほどの悪臭を放つようになる!
私の知る限りこれより酷いのはスカンクくらいのものである!

貧者の食事
貧しい階層の食事は粗末で栄養に乏しく、味も見かけもひどい。
またソースや漬物の量は消化器官にとても有害である。
食料に出来るものは何でも利用する。
御飯を炊いた時の水から一種のゼリーのようなものを作るくらいである。
(これは何だろうか?重湯とも違うようだけど?)

農作物
胡麻からは整髪にも揚げ物にも使う油を採りますが、
この揚げ油は日本の強烈な悪臭の原因の一つです。
DAICONにも負けないほどの悪臭です。

好奇の目・1
YADOYAではあまりの勢いで人が集まってきたので私は離れに移されました。
ところが大人は屋根に上がってこちらを見下ろし、
子供たちは柵に上がって重みで柵を壊してしまいました。
その柵の壊れた所から皆が一斉に押し寄せてきたので私は障子を閉めました。
しかし日本の野次馬は静かでおとなしく、乱暴に押し合いへし合いする事はありません。

好奇の目・2
庭で粗末な昼食を摂りましたが、何百人もの野次馬が押しかけました。
私が見えない人がハシゴを出して隣近所の屋根に登ったので、
一軒の屋根が大きな音をたてて崩れ、50人が下の部屋に落ちました。

なかなか面白いでしょ。
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