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内澤旬子 世界屠畜紀行 開放出版社

食肉、それもいわゆる屠殺について世界中を巡ります。
かなーり珍しいジャンルの本です。

肉を食べるという行為は100%間違い無く、動物の命を奪う行為。
しかしひとつの食肉を作る上では、殺すという作業は始まりに過ぎません。
それゆえ作者が使うのは屠殺ではなく屠畜という言葉。
どのように命を奪い、加工し、食肉が出来るのか。
…そして差別問題はあるのか。
食肉を取り巻く現状を自分で観て話して触って作業して調べた1冊。

全17章、出てくる国は
東京・韓国・モンゴル・バリ・エジプト・沖縄・チェコ・インド・アメリカ…
扱う家畜も牛・豚・鶏・ラクダ・犬…。

手書きイラストで解体作業などもしっかり描写するので、
最初のうちは私も読み進めにくかったけれど、
世界中の人の、「肉」に関する考え方が垣間見えて大変イイ読書になった。
いくつか興味深かったとこをご紹介。

「韓国人=焼肉、っていう感覚は、日本人=スキヤキ、みたいなものかもしれない」
(韓国人にとってハレの食事=焼肉)

バリ在住の日本人にインタビュー。
彼の会社に勤めるバリ人には年間100日の「お祭り公休」が認められている。
(そして祭りがあるたびに豚などをつぶす)
「およそバリ人成人男性たるや、豚の解体は文字通り朝飯前で御座います」

(牛が殺されるのを見て平気ですか?、と聞かれて)
『殺す、違います。殺す、は悪い言葉です。
人を殺すのは悪い事だから殺す、ですけど
動物は人間が食べるため・神様にあげるためです。
それは殺す、とは言いません。切る、です。』

モンゴルでの屠畜方法その1・ノガスラホ
頚椎に小刀を刺し、脊髄を両断する。
モンゴルでの屠畜方法その2・オルルフ
動物を仰向けに寝かせ、腹を小さく裂く。
そこから手を入れ横隔膜の高い位置(腹側)を破って心臓動脈を指でひねり切る。
こうすれば横隔膜の向こう側・腹腔に血が貯まるので大地を汚さない。

「日本人は神経質過ぎる!日本人だって毒入りのフグを食べるじゃないか!
あれで死ぬのは年間何人だ?今まででBSEで死んだのは何人だ?
フグで死ぬ奴のほうが断然多いのに…なぜだ!」



インドだったかバリだったか、
食べるという行為を理解し家畜に感謝して食べる(屠畜する)なら、それは善行。
腕に止まった羽虫を叩き殺すほうが遥かに問題…という考え方が印象に残った。
あと、「屠畜業者は動物を美味しい肉に加工してくれる人。大工や米屋と同じ」という意見に大賛成。
この考え方なら差別は生まれないはず…なんだけどな。
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